お直し
黒絵羽(黒絵羽織のことを「黒絵羽」と通称します)は、子供の入卒時に着用するもの、という認知が、特にアラ還世代では広く行き渡り、普段のコーディネートに活かせず、箪笥の中で眠っているという方も多いのでは。
黒の羽織はコーディネートしやすいですし、また、今となっては、黒絵羽の生地そのものが上質で、贅沢に友禅や刺繍を施したお品も多く、何とも勿体無いことでございますよね。
一方、入卒スタイルをご存じ無い世代にとっては、黒の羽織?格好いいですね♪となるアイテム。
お気持ちの枠を取り払い、お召しになってみませんか?
とはいえ、そこで問題になるのは、
- 家紋がある
- 裄が短い(以前作った着物は羽織に限らず、ほぼ裄が短いです…)
- 着丈が短い
この3点。
■家紋については、洒落紋(飾り紋)をお入れになっては如何でしょう。
(場合によっては紋消し出来る場合もございます。)
紋無しの黒絵羽の場合、問題は2&3。
■裄については、裄出しで解決するケース(袖付けの縫い込みが有る場合)が殆どですが、
■問題は羽織丈です。
短め丈でOKの方はそのままお召しいただけますが、最近は長め丈がトレンドですから、何とか長く出来ないかとお直しに出してみたものの、羽織の衿先に縫い込みがなく諦めた方も多くいらっしゃるかと思います。
衿先にはほぼ縫い込みがございませんよね。
そこで、ご提案いたしますのが、羽織の衿の天継ぎです。
羽織丈が長くならない原因の主たるものは衿先の縫い込み。
身頃部分には引き返しがたっぷりございます。
そこで、衿を分解し、縦の折り込みを2パーツに分け、背で継いで衿丈を長くするのです。
身頃部分の裏が足りなくなりますから、袖裏は現品をそのまま使い、身頃部分は新しく。
薄手の余った裂地があれば有効に活用いたしましょう。
和裁をご存じの方は、衿が薄くならないかとご心配かもしれませんが、衿の余り尺を利用しつつ工夫していただくと、全く問題ございません。
E様に、天継ぎさせていただいた黒絵羽織のお仕立て直しをご披露いただきましたので、お写真で、どうぞご覧になってくださいませ。
裄出し&天継ぎ&丸洗い&身頃部分の裏取替をお勧めし、着丈がなんと12㎝も長くなった、素敵な黒絵羽に生まれ変わりました。
素敵でございますね。
衿後ろ、背部分の天継ぎも目立たず、大丈夫。
また一つ、ワードロープが増えたわ、と喜んでいただきました。
黒絵羽リバイバル、皆様もトライなさってくださいませ。
当サイト『 Photo of Memories 』で黒絵羽のコーディネートをご披露いただきました。
E様、ありがとうございます。