名古屋帯(織り)
夏物一覧

長い冬の間、雪に閉ざされた越後地方では、男手は出稼ぎに、家を守る女手たちは、生計を立てる手段として、また税として麻織物が織られてきました。
時代を遡れば、正倉院御物にも越後の麻が献納されていますから、その歴史の長さに圧倒されますね。
「上質な麻織物を上布と呼ぶ」
知識として識ってはいますが、いざその時間を考えると、脈々と耐えることなく受け継いで下さった先人達の想いに頭が下がります。
1995年に重要無形文化財に、そして2009年には、ユネスコの無形文化遺産として登録された越後上布。その重要無形文化財の越後上布を守り続ける小河織物謹製の名古屋帯をご紹介いたします。
◎ 越後上布の重要無形文化財指定要件は、下記の5つ。
一 .すべて苧麻を手績みした糸を使用すること。
二 .絣模様を付ける場合は、手くびりによること。
三 .いざり機で織ること。
四 .しぼとりをする場合は、湯もみ、足ぶみによること。
五 .さらしは、雪ざらしによること。
糸は福島県昭和村の青苧。
その苧麻を手で績み、経緯共、絣を創り、いざり機で織り上げるのです。
帯の地色はベージュ、鳥の子色と白茶色の中間位のお色でしょうか。
綺麗な青、縹色は縦縞のようにすっきりと帯に現し、その青の縞に呼応するように、墨黒色を経、緯に幾何文に織り上げた作品です。
緯は細く均一に績んだ苧麻糸で、経はざっくりと太細のある苧麻糸で織り上げていますから、絣柄無くとも、無地の景色のみでも見応え充分ですね。
素朴で力強い織りの力、そして、ベージュ×ブルー×墨黒というお洒落な配色も、また嬉しいのです。
ざっくりとした風合いは、紬に良く合います。
盛夏のみならずお単衣時期にもご愛用下さい。
■ 越後上布 八寸織名古屋帯
重要無形文化財 ユネスコ無形文化遺産登録
越後上布技術保存協会員 伝統工芸士 小河正義
●品切れ